以前の記事で「中小企業の6割はAI導入の予定なし」という中小機構の調査をご紹介しました。今回は別の調査から、もう少し踏み込んだ角度でお伝えします。商工中金が2026年1月に実施した調査によると、生成AIを会社として積極的に活用している中小企業は約31%。では、実際に使っている会社は、生成AIを何に使い、どんな成果を感じているのでしょうか。
商工中金は、取引先の中小企業を対象に「中小企業の生成AIの利用にかかる調査」を実施しました。調査時点は2026年1月1日(調査期間2025年12月19日〜2026年1月16日)で、10,772社に送付し、3,892社(回収率36.1%)から有効回答を得ています。
生成AIの導入状況を尋ねたところ、内訳は次のとおりでした。
もっとも多かったのは「会社での導入はなく、使用は個人の判断に任せている」で、全体の6割超を占めました。一方、「会社主導で導入」(0.9%+4.1%+11.2%=16.3%)と「会社導入はないが個人の利用を推奨」(14.9%)を合わせた「生成AI積極活用層」は、約31.1%(約3割)にのぼりました。
「生成AI積極活用層」に、実際にどんな業務で生成AIを使っているかを尋ねた結果が、次のとおりです(複数回答)。
もっとも多いのは、文書の作成・要約という事務系の定型業務でした。以前ご紹介した福岡商工会議所の調査(文書作成・要約76%)とほぼ同じ傾向で、「まずは書類仕事から使い始める」というのが、業種を問わず共通の入り口になっているようです。
もう一つ興味深いのは、導入方法によって「成果の感じ方」に差が出ている点です。「生成AI積極活用層」に生成AI活用の総合的な評価を尋ねたところ、「経営へのプラス効果を感じている」先は積極活用層全体で31.7%、「経営への好影響とまではいかないが、有効事例が出てきている」まで含めた、なんらかポジティブな評価をしている先は73.7%に達しました。
これを「会社による導入」と「個人登録の利用推奨」に分けて比べると、経営へのプラス効果を感じている割合は、会社導入が34.6%、個人登録が24.3%と、10ポイント以上の差がついています。同じ「積極活用」でも、会社として仕組みを整えて導入した方が、効果を実感しやすい傾向があるということです。
今回の調査で最も多かった回答は、「会社としての導入はなく、使うかどうかは個人任せ」という状態(64.9%)でした。多くの会社にとって、生成AIは「誰かが個人的に使っているかもしれないが、会社としては特に手を打っていないもの」という位置づけのままだと言えます。
一方で、会社主導で導入している企業の方が、経営へのプラス効果を実感している割合が明確に高いというデータは、「個人の自主性に任せる」だけでは活用が本格化しにくいことを示しています。全社導入までいかなくても、まずは自社の業務のどこか一つに絞って会社として試してみる、という小さな一歩が、成果につながりやすい可能性があります。
商工中金の調査によると、生成AIを会社として積極的に活用している中小企業は約31%。使われ方は文書作成・要約が中心で、他の調査とも傾向が一致しています。また、個人任せより会社主導で導入した方が、経営へのプラス効果を感じやすいという結果も出ました。「誰かが個人で使っているだけ」から一歩進めることが、活用の鍵と言えそうです。
弊社・大蛇テック合同会社は、経済産業省認定 Smart SME Supporter(スマート中小企業サポーター)として、大牟田市に拠点を置きながら、全国の中小企業さまのAI活用をサポートしています。「個人任せの状態から、会社としてどう一歩踏み出せばいいか」という段階からでも、無料相談でご相談いただけます。
AI導入が進まない理由について、あわせてこちらの記事もご覧ください:中小企業の6割は「AI導入の予定なし」——実感と合っていますか?