「AIって、もう多くの会社が使っているんでしょう?」——そう感じている経営者の方も多いかもしれません。ですが2026年3月に公表された最新の調査結果を見てみると、印象とはだいぶ違う実態が見えてきます。今回は、全国の中小企業1万社を対象にした調査データをもとに、日本の中小企業のAI活用の「今」と、大牟田・荒尾エリアの会社にとっての意味をお伝えします。
「中小企業の6割がAI導入の予定なし」という調査結果
独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が2026年3月に公表した「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」は、全国の中小企業1万社に調査票を配布し、1,668社から有効な回答を得た大規模な調査です(調査期間:2025年11月17日〜12月12日)。
それによると、AIを「全社的に導入している」企業は3.6%、「一部の業務で導入している」企業は16.8%で、あわせても導入率は20.4%にとどまりました。「導入を予定・検討している」企業を足しても39.0%です。
つまり、残りの61.0%は「導入予定はない」と回答しています。「AIはもう当たり前」というイメージとは裏腹に、多数派はまだ動いていないというのが実態です。
なお、生命保険会社の大同生命が2026年1月に実施した別の調査(対象は生成AIに限定)でも、活用したことがない企業が6割を超えるという、近い傾向の結果が出ています。調査の対象やAIの定義は異なりますが、複数の調査で同じ方向の結果が出ているという点は参考になると思います。
使っている会社は、何にAIを使っているのか
では、すでにAIを導入している企業は、何に使っているのでしょうか。
中小機構の調査では、導入済み企業のうち82.6%が「生成AI」を利用していると回答しており、他のAI技術(音声認識・音声対話AIが29.8%など)と比べても突出しています。導入目的としては「業務効率化・作業時間の短縮」が87.0%でもっとも多く、実際の導入効果としても「業務効率化・作業時間の短縮」が83.2%でトップでした。
また、大同生命の調査では、生成AIを活用している企業の用途として「文書・資料作成」が71%でもっとも多く挙げられています。
高度なシステム開発や、複雑な自動化を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし実態は、日々の文書作成という、どの会社にもある地味な作業から始めている会社が多いということが分かります。
なぜ多くの会社が「まだ」なのか
中小機構の調査では、AI・IT導入にかかる社内の理解や情報量についても尋ねています。それによると、「成功事例や活用事例などの情報が十分に入手できている」と答えた企業はわずかで、逆に情報が不足していると答えた企業は83.3%にのぼりました。「適切なベンダーや製品を選定する情報が十分にある」についても、79.8%が不足していると回答しています。
導入を進めるために必要な公的支援としては、「導入費用などの助成」(77.9%)に次いで、「導入事例などの情報提供」(70.5%)が求められています。
つまり、多くの中小企業が「AIに興味がない」のではなく、「何をどう選べばいいか分かる情報が足りない」ために、導入予定がない状態にとどまっているとも読み取れます。費用や人材不足が壁になっているという声が多いのも事実で、知らない・使っていないことを恥じる必要はなく、それだけの理由がある、というのが正直なところだと思います。
「まだ」の側から一歩を踏み出すには
とはいえ、このままでいいというわけでもありません。少しずつでも動き出すための、現実的なステップをお伝えします。
- 一番使われている「文書作成」から試す:見積書やお知らせ文など、日々書いている文章の下書きをAIに頼んでみることから始める会社が多数派です
- 「情報不足」の壁は、外部の力を借りることで小さくできる:どのツールが自社に合うか、どんな事例が近いかを相談できる相手を見つけておくだけで、最初の一歩のハードルはかなり下がります
- 「うちはまだ早い」ではなく「うちも多数派」と捉える:調査結果を見る限り、6割の中小企業がまだ同じ地点に立っています。焦る必要はありませんが、出遅れているわけでもありません
この調査は全国の中小企業を対象にしたもので、大牟田・荒尾エリアに限った数字ではありません。地域や業種によって実感には差があるかもしれない、という点はご承知おきください。
まとめ
「中小企業の6割がAI導入の予定なし」という調査結果は、裏を返せば、大牟田・荒尾の多くの会社さまが感じている「うちはまだ使えていない」という状況が、決して特殊ではないことを示しています。壁になっているのは「情報不足」であることが多く、そこは外部の力を借りることで小さくできます。
弊社・大蛇テック合同会社は、経済産業省認定 Smart SME Supporter(スマート中小企業サポーター)として、大牟田・荒尾エリアの中小企業さまに向けて「まず何から始めればいいか」というご相談から丁寧にお受けしています。「うちの規模で何ができるか」を一緒に整理するところからお受けしています。
出典
- AI導入率20.4%・導入予定なし61.0%・導入目的/効果・情報不足の実態: 独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026年3月公表、調査期間2025年11月17日〜12月12日、配布1万社・有効回答1,668社) smrj.go.jp(PDF)
- 生成AI活用したことがない企業6割超・用途トップ「文書・資料作成」71%: 大同生命保険「中小企業の生成AI活用」サーベイ(2026年1月度調査) daido-life.co.jp