「AIのことは分かっている。でも、自社の仕事にどう使えばいいのかは分からない」——そんな状態の経営者は、どのくらいいるのでしょうか。株式会社フォーバルの研究機関「フォーバル GDXリサーチ研究所」が2026年9月28日に発表した調査では、AIを理解している経営者は66.5%でした。そのうち業務にすでに活用しているのは36.9%にとどまります。一方で、仕組みまで深く理解している経営者に限ると、8割以上が活用していました。今回は、理解の「深さ」で活用がどう変わるのかを、調査の数字から整理します。
この調査は、全国の中小企業経営者を対象にしたウェブアンケート(インターネットで回答を集める調査)です。調査期間は2026年6月1日〜30日で、1,653人が回答しました。
AI活用への理解度を尋ねた結果は、次のとおりです。
「概要は知っているが、自社への当てはめ方までは分からない」という経営者は、4割を超えています。
なお、この調査は質問ごとに答えた人数(母数)が変わります。先に整理しておくと、次のとおりです。
「理解がある」と答えた1,099人に、導入・活用の状況を尋ねた結果が次のとおりです。
合わせて57.0%が、活用または検討の段階に入っています。ただし、36.9%は回答者全体(1,653人)ではなく、理解があると答えた1,099人の中での割合です。回答者全体に対する割合に直すと、およそ4人に1人(約24.5%、筆者の試算)です。
そして、理解の深さによる差が大きく出ています。「仕組みや活用メリットを深く理解し、業務にどう適用できるか把握している」と答えた企業では、8割以上がすでに業務で活用していました(具体的な数値は、プレスリリース本文では示されていません)。
活用・導入を検討している業務を尋ねた設問(303人が回答、複数回答)では、次の結果でした。
導入を考える理由は、「業務効率化・工数削減のため」が75.9%で最も多く、次いで「生産性向上のため」が67.7%でした。
「必要だと思うが導入できていない」と答えた376人に、その理由を尋ねた結果です(複数回答)。
上位に並んだのは、人材の不足と、使い道・進め方が分からないことでした。
この調査からは、壁になっているのは知識の量よりも、自社の業務への「当てはめ方」であることが分かります。深く理解している企業の活用が8割以上だったことからは、「概要を知っている」段階から「自社のこの業務に使える」段階へ進むことが、活用への近道になる可能性があります。
今後の方針を尋ねた設問(1,003人)では、「大幅に注力し、推進する」が29.8%、「やや注力し、推進する」が53.4%で、合わせて83.2%が推進の意向を示しました。同研究所の平良学所長は、業務に即した具体的な活用事例の提示、人材育成、知識・ノウハウの共有が重要だとコメントしています。
ただし、この調査には留意点があります。調査時点は2026年6月で、経営者へのウェブアンケートの回答に基づくため、社内での実際の活用の深さまでは分かりません。また、理解が深いから活用が進んだのか、活用したから理解が深まったのかも、この調査だけでは判断できません。
AIを理解している経営者は66.5%、そのうち業務に活用しているのは36.9%でした(理解がある経営者の中での割合で、回答者全体では約4人に1人)。深く理解している企業では、8割以上が活用しています。導入できない理由の上位は、人材の不足と、どの業務に使えるか・どう進めるかが分からないことです。まずは、毎週必ず発生する業務を1つ書き出してみてください。
弊社・大蛇テック合同会社は、経済産業省認定 Smart SME Supporter(スマート中小企業サポーター)として、大牟田市に拠点を置きながら、全国の中小企業さまのAI活用をサポートしています。書き出した業務にAIが使えるかを一緒に確かめる場として、無料相談をご用意しています。
導入後の成果の出方については、あわせてこちらの記事もご覧ください:生成AIを「積極活用」している中小企業は約3割——使っている会社は何に使っているのか